今年も残りわずかとなり、年末調整の時期になりました。
年末調整とは、サラリーマンやOL、アルバイト・パートの方など一つの勤務先から受ける給与以外に所得がない方の年間の所得税額の精算手続きのことです。
ほとんどの方が、この手続きで税額の精算を済ませることにより確定申告を行う必要がなくなるので、非常に大切な手続きとなります。
確認書類などの漏れがあると年末調整ができなくなることもありますので、早めに手続きを行う準備をしましょう。
年末調整では、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、障害者等の控除、各種保険料控除などいろいろな控除がうけられます。扶養控除申告書などを提出して、これらの控除を正しく受けましょう。
●配偶者控除の対象となるのは、給与所得者の合計所得が1,000万円以下で、所得者本人と生計を一にする配偶者で、合計所得が48万円以下の人です。
●給与所得だけの人は、その年中の給与の収入金額が103万円以下であれば合計所得金額は48万円以下になります。
●年の中途で異動が生じた場合には「配偶者控除等申告書」の提出が必要になります。
(注)上記の合計所得金額には、遺族年金などの非課税所得、源泉分離課税が適用される利子、確定申告をしないことを選択した上場株式等の配当などは含まれません。
控除の種類 | 控除額(所得控除) | ||
---|---|---|---|
配偶者控除 | 一般の控除対象配偶者 | 38万円 | |
老人控除対象配偶者(注) | 48万円 |
(注)老人控除対象配偶者とは、年齢70歳以上の人(昭和29年1月1日以前に生まれた人)です。
給与所得者の合計所得金額が1,000万円以下で、生計を一にする配偶者の合計所得金額が48万円超、133万円以下の場合にはその金額に応じて、最高38万円まで控除されます。
●この控除を受けるためには「基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」の提出が必要です。
●給与所得者と生計を一にする年齢16歳以上の親族(配偶者、青色事業専従者等を除く)のうち、合計所得が48万円以下の人です。
●給与所得だけの人は、その年中の給与の収入金額が103万円以下であれば合計所得金額は48万円以下になります。
●年の中途で異動が生じた場合には「扶養控除等異動申告書」の提出が必要になります。
(注)上記の合計所得金額には、遺族年金などの非課税所得、源泉分離課税が適用される利子、確定申告をしないことを選択した上場株式等の配当などは含まれません。
控除の種類 | 控除額(所得控除) | ||
---|---|---|---|
扶養控除 | 一般の控除対象扶養親族 | 38万円 | |
特定扶養親族 | 63万円 | ||
老人扶養親族 | 48万円 | ||
同居老親等 | 58万円 |
(イ)特定扶養親族
控除対象扶養親族のうち、年齢19歳以上23歳未満の人(平成13年1月2日から平成17年1月1日の間に生まれた人)
(ロ)老人扶養親族
控除対象扶養親族のうち、年齢70歳以上の人(昭和29年1月1日以前に生まれた人)
給与所得者と生計を一にする配偶者・扶養親族が障害者等に当てはまる場合は以下の通り所得控除が設けられています。
●この控除を受ける場合には「扶養控除等(異動)申告書」の提出が必要です。
控除の種類 | 控除額(所得控除) | |
障害者控除
|
一般の障害者 | 27万円 |
特別障害者 | 40万円 | |
同居特別障害者 | 75万円 | |
寡婦控除※ | (旧一般の寡婦) | 27万円 |
ひとり親控除※ | (旧特別の寡婦) | 35万円 |
(旧寡夫控除) | ||
勤労学生控除 | 27万円 |
※ いずれも事実婚の場合は適用外
給与から天引きされる社会保険料をはじめ、国民年金、国民健康保険税などの社会保険料、生命保険や地震保険など、各種保険料の支払いをしている方には以下の控除が設けられています。
●これらの控除を受けるためには「保険料控除申告書」の提出が必要です。
控除の種類 | 控除額(所得控除) | |||
---|---|---|---|---|
社会保険料控除 | 支払った保険料の全額 | |||
小規模企業共済掛金控除 | 支払った掛金の全額 | |||
生命保険料控除 | 保険等の種類 | 旧契約 | 新契約 | 両方がある場合 |
一般の生命保険料 | 最高5万円 | 最高4万円 | 最高4万円 | |
個人年金保険料 | 最高5万円 | 最高4万円 | 最高4万円 | |
介護医療保険料 | - | 最高4万円 | - | |
合計適用限度額 | 最高12万円 | |||
地震保険料控除 | 地震保険料のみの場合 | 最高5万円 | ||
旧長期損害保険料のみの場合 | 最高1万5千円 | |||
両方がある場合 | 最高5万円 |
(注)
上記で紹介した控除以外にも(特定増改築等)住宅借入金等特別控除(税額控除)などがあります。
準備・用意するもの
年末調整では、給与の支払いを受ける人それぞれの書類を揃えていただく必要があります。
■(ア)扶養控除等申告書(令和5年分)の確認
■(イ)扶養控除等申告書(令和6年分)の回収
■(ウ)基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書の回収
■(エ)保険料控除申告書の回収
■(オ)生命保険料控除証明書(一般の生命保険料、個人年金保険料、介護医療保険料)
■(カ)地震保険料等控除証明書(地震保険料、旧長期損害保険料)
■(キ)国民健康保険料の領収書等
■(ク)国民年金保険料控除証明書、社会保険料控除証明書(国民年金基金)
■(ケ)小規模企業共済掛金の支払ったことがわかる証明書類
■(コ)配偶者の収入明細(源泉徴収票、もしくは見積り額のわかるもの)
■(サ)住宅借入金等特別控除申告書、年末残高等証明書
■扶養控除申告書(平成28年1月1日以後提出分から)
■給与所得の源泉徴収票/給与支払報告書(平成28年分から)
※受給者交付用にはマイナンバーは記載しません
■退職所得の源泉徴収票(平成28年分から)
※受給者交付用にはマイナンバーは記載しません
■報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書/不動産の使用料当の支払調書(平成28年分から)
※受給者交付用にはマイナンバーは記載しません
■給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(平成28年分から)
平成29年分以後の扶養控除申告書へのマイナンバー記載不要の制度の特例 平成29年分の扶養控除申告書については、給与支払者が従業員等のマイナンバー等を記載した一定の帳簿を備えている場合には、その帳簿に記載されている方のマイナンバーの記載を要しないものとされました。 |
マイナンバー制度については こちら
年末調整の対象となる人ならない人
年末調整は、原則として給与の支払者(勤め先)に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している人全員について行いますが、例外的に年末調整の対象とならない人もいます。
年末調整の対象となる人
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年末調整の対象とならない人
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注意事項 ✓1か所から給与の支払いを受ける人で、年末調整を行う時期までにその年の「給与所得者等の扶養控除等(異動)申告書」を提出してない人については、必ず提出するよう指導しましょう。 ✓年末調整の対象とならない人は、自分で確定申告をして税額の精算をすることになります。確定申告時期になりますと、受付期間などが公表されますので、その期間中に確定申告を提出する必要があることを指導しましょう。 ✓外国人の労働者であっても、国内に住所を有するか又は引き続いて国内に1年以上居所を有することにより居住者となる人については、上記の表の区分により年末調整の対象となるかどうかを判定することになりますから注意しましょう。 |
令和5年12月分または7~12月分(納期特例)の納期限について ●納期の特例の承認を受けていない場合 令和6年1月10日(水) ●納期の特例の承認を受けている場合(給与など特定の所得に限ります) 令和6年1月22日(月) (注)上記の納付日10又は20日が祝祭日・土曜・日曜にあたる場合には、その休日明けの日が納期限となります。 |
年末調整が完了した後、各人の給与支払報告書や法定調書合計表の提出などの手続きがあります。
提出期限は令和6年1月31日です。こちらの手続きも忘れないようにしましょう。
当事務所では、年末調整事務手続き、法定調書の作成を承っております。
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