2018年10月15日、安倍内閣総理大臣より2019年10月から10%となることが正式に表明されました。(今後、具体的な取扱いが正式に決定されるため、現時点での取扱いである点にご留意ください。)
Ⅰ 消費税の軽減税率制度の導入 |
この緩和に向け、家計への負担を少しでも和らげるため、食料品などを対象に本来よりも低い税率を適用しようというのが消費税の軽減税率の目的です。
軽減税率 | 8%の適用(標準税率10%が適用される平成31年10月1日以後に導入) |
対象品目 | ① 飲食料品 ②週2回以上発行される新聞の購読料 |
食品表示法に規定する食品(酒類を除きます)をいい、一定の一体資産を含みます。
なお、外食やケータリング等は軽減税率の対象にはなりません。
軽減税率(「外食」に当たらない)
(テイクアウト・持ち帰り・宅配)
①「飲食設備を設置した場所で行う」ものではないもの
・牛丼屋・ハンバーガー店のテイクアウト
・そば屋の出前
・ピザの宅配
・屋台での軽食
(テーブル、椅子等の飲食設備がない場合)
・寿司屋の「お土産」
② 「その場で飲食させるサービスの提供(食事の提供)」に当たらないもの
・コンビニの弁当・惣菜
(イートインコーナーのある場合であっても、持ち帰りが可能な状態で販売される場合は「軽減」)
有料老人ホームでの飲食料品の提供や学校給食等
標準税率(「外食」に当たる)
(外食・イートイン)
・牛丼屋・ハンバーガー店の店内飲食
・そば屋の店内飲食
・ピザの店内飲食
・フードコートでの飲食
・寿司屋での店内飲食
・コンビニのイートインコーナーでの飲食を前提に提供される飲食料品
・ケータリング・出張料理
Ⅱ 適格請求書等保存方式(インボイス制度)の導入 |
請求書、納品書等の書類で、適格請求書発行事業者の登録番号、適用税率、消費税額等の一定事項が記載された書類のことをいいます。
そのため、物の売買やサービスの提供など、1つ1つの取引に対して8%と10%のどの税率が適用されたかを把握する必要があります。
インボイス制度を適用するためには、あらかじめ税務署に申請をして登録を受ける必要があります。 なお、消費税を納めなくてもよい免税事業者はこの登録ができません。
登録を受けると氏名や名称、登録番号がインターネットに公表されます。
2019年(平成31年)10月1日以降は、ほとんどの事業者で「標準税率」と「軽減税率」が混在することとなり、事前の準備が必要となります。
・「標準税率」と「軽減税率」を区別できる販売管理やレジの導入、改修
(適用税率のレジ登録・ラベル貼付)
・インボイス制度に対応した請求書発行システム
・「標準税率」と「軽減税率」に区分して集計・記帳できる経理システム
インボイス導入による混乱を防ぐため、当初4年間は、事業者の売上高の規模に応じて、経理事務の負担を軽くします。
H31.9.30まで | H31.10.1~ | H35.10.1~ | |
請求書 記載事項 | ・請求書発行者の名称 ・対価の額 | 同左に下記事項追加 ・税率ごとに合計した対価の額 | 同左に下記事項の追加 ・消費税額 |
税額計算 | ・取引総額から 「割戻し計算」 | ・税率ごとの総額からの 「割戻し計算」 ・売上税額・仕入税額の計算の特例 | ・税率ごとの取引総額からの「割戻し計算」 ・適格請求書の税額からの「積上げ計算」 選択制 |
その他 | ・交付義務、不正交付の罰則なし ・免税事業者も交付可 ・3万円未満の取引や自動販売機からの購入は、帳簿記載で仕入税額控除可 | ・交付義務、不正交付の罰則なし ・免税事業者も交付可 ・3万円未満の取引や自動販売機からの購入は、帳簿の記載で仕入税額控除可 | ・交付義務、不正交付の罰則あり ・免税事業者は交付不可 ・3万円未満の取引や自動販売機からの購入は、帳簿の記載で仕入税額控除不可 |
住宅ローン控除への影響 |
住宅ローン控除は、現在、消費税増税後の反動減を考慮して、次のように平成33年12月まで優遇幅が大きくなってます。
区 分 | 住居時期 | 控除期間 | 各年の控除額 |
一般住宅 | H26.1~H33.12 |
10年 |
年末残高×1% (最大40万円) |
認定住宅 | 年末残高×1% (最大50万円) |
直系尊属の住宅資金贈与の非課税措置への影響 |
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税措置について、平成33年12月までの贈与税の非課税枠の優遇幅が大きくなっています。
契約締結時期 | 省エネ等住宅 | 左記以外の住宅 |
H31.4~H32.3 | 3,000万円 | 2,500万円 |
H32.4~H33.3 | 1,500万円 | 1,000万円 |
H33.4~H33.12 | 1,200万円 | 700万円 |
※この表における非課税限度枠は、平成31年3月31日までに住宅用の家屋の新築等に係る契約を締結し、既に非課税の特例の適用を受けて贈与税が非課税となった金額がある場合でも、その金額を控除する必要はありません。
平成27年4月1日以後に開始する課税期間から適用し同日前に開始した課税期間については、改正前の制度を適用することとされています。
平成26年9月30日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を新たに提出した事業者は、平成27年4月1日以後に開始する課税期間であっても当該届出書に記載した 「適用開始課税期間」の初日から2年を経過する日までの間に開始する課税期間(簡易課税制度の適用を受けることをやめることができない期間)については、改正前のみなし仕入率が適用されます。(注) 平成26年10月1日以後に、「消費税簡易課税制度選択届出書」を新たに提出した事業者は、平成27年度4月1日以後に開始する課税期間から、改正後のみなし仕入率が適用されます。
(1)【3月31日決算法人の適用例】
≪▲=消費税簡易課税制度選択届出書の提出≫
(2)【個人事業者及び12月31日決算法人の適用例】
≪▲=消費税簡易課税制度選択届出書の提出≫
消費税法の課税売上割合の計算上、貸付金、預金、売掛金その他の金銭債権の譲渡については、その譲渡に係る対価の額の全額を資産の譲渡等の対価の額(分母)に算入することとされていましたが、今回の改正によりその対価の額の5%相当額を資産の譲渡等の対価の額(分母)に算入することとされました。
(注)課税売上割合とは、その課税期間中の国内における資産の譲渡等の対価の額の合計額のうち、その課税期間における課税資産の譲渡等の対価の額の合計額の占める割合をいいます。この課税売上割合が、どの程度であるかが仕入控除税額を算出するうえで重要になっています。
課税資産の譲渡等の対価の額(課税売上高(税抜き)+免税売上高)
資産の譲渡等の対価の額(課税売上高(税抜き)+免税売上高+非課税売上高)
この改正は、平成26年4月1日以後に行われる金銭債権の譲渡について適用されます。